特別養護老人ホーム 縁JOYのブログ

BCP訓練と炊き出し訓練 

11月18日、法人全体での、大地震を想定した災害訓練が行われました。

BCPとは、Business Continuity Planの略。日本語にすると「事業継続計画」となります。

災害や感染症の流行など、なにか施設運営に支障をきたすことが起きた場合に、いかに事業を継続するか、素早く復旧できるようにするための計画策定となります。

私たち特別養護老人ホーム縁JOYは、100名の高齢者が生活している場所です。大勢の命を預かる場なので、入居者の命を守るためには常に食事やケアの提供を続けなければならないので、たとえ大災害が起きても、職員が仕事を休むわけにはいきません。

そのため、非常食の備蓄をはじめ、万が一災害が起きたときにどうするか、ということを常に考えています。

「大地震発生、身を守る行動をしてください」のアナウンスが流れると、職員、ご利用者様で「シェイクアウト訓練」を行いました。

デイの皆さんも「①姿勢を低くする ②頭・体を守る ③揺れが収まるまでじっとしている」を守って行動です

大災害が発生した時、縁JOYで問題となることの一つが、情報の把握です。

縁JOYは、特養部分は10のユニットに分かれていますが、それだけでなく、デイサービス、保育園があり、日中に滞在している利用者は(保育園児を含む)150名ほどになります。

それぞれの部署で負傷者がいないか、建物が壊れたり被害が出ていないかを確認し、その情報を正確に素早く集約することが重要となります。

しかし、その情報を事務所に伝えに来る最中、厨房では火災が発生・・・。

実際の災害を想定した訓練のため、このような緊急事態が発生したら「何を優先するのか?」を職員が考えて行動しなければなりません。今回では「初期消火を優先」するのが正解。

職員が消火器や消火栓を使用して初期消火を試みます。

初期消火失敗の判断は、火の大きさで行います。火が天井付近まで燃え上がってしまうと、初期消火は失敗し、もう消せないと判断。すると、職員は利用者の避難誘導に入らなければなりません。

火の延焼を防ぐために防火扉を閉め、利用者様をベランダに誘導して、火災から逃がさなければなりません。

その後、職員も避難をしますが、避難した先で、避難状況や負傷者などの情報を伝えます。

災害本部として、ユニットおよび各部署ごとの避難できた人数、行方不明者、負傷者を聞き取り記録し、施設全体での状況把握に努めます。

今回は大災害想定ということで「トリアージ訓練」も行いました。

死傷者が多数出るような大きな災害の場合、限られた医療をどこに振り分けるべきか。

介護職員から、利用者の状態や怪我の状況報告が入ると、素早く看護師に伝え、看護師が4段階のトリアージを行い、治療の優先度を判断します。今回は看護師がトリアージ訓練経験者ということもあり、とても素早い判断でのトリアージが行われていました。

それから、災害時物資の場所確認を行いました。

外の倉庫には食料や水、防災用品、医療用物資などが入っています。

災害時、すみやかに物資をとりだしたりできるように、訓練に参加した職員で各倉庫の物資を確認しました。

今回は倉庫からテントをとりだし、設営するまでを行いました。

そして、11月20日には、炊き出し訓練を実施しました。

今回、この日に炊き出し訓練を行ったのはいくつか理由があります。

現在縁JOYで行っているエアコンの入れ替え工事のため、数時間停電しなければならなかったことが一つ。

そして、縁JOYの厨房は基本的に電化のため、停電しているとほぼ調理業務が行えないのです。

実際の災害が起き、電気やガスなどのライフラインが止まってしまったことを考えると、それでも調理する練習、調理や配膳にかかる時間の把握をしておきたかったということ。

それから、非常食も定期的に食べて入れ替えをしないといけないということ。

そのため、以前にかまどと大鍋を購入しており、今回ははじめてそれを使っての炊き出し訓練となりました。

そして薪は以前に縁JOYで伐採した木を乾燥させていたものです。

この大鍋は約20ℓ。大鍋一杯の水を沸かすのに火起こしから30分ほどかかりました。

左側がアルファ米でつくられたおかゆの非常食、右が米飯の非常食で、それぞれ50人分となっています。

(左には乾燥材が入っていますが、調理前にちゃんと取りだしています)

それぞれお湯又は水をいれてしばらく置くと食べられるようになります。

大鍋で沸かした20ℓのお湯で、ちょうどこの二つの非常食が調理できます。

このアルファ米のおかゆと米飯ですが、この段ボールの中にしゃもじやおたまといった配膳用具、カップ、味付け用の塩なども入っていて、最悪の状況でも水さえあれば調理して配膳することができるようになっています。

その後、もう一度沸かしたお湯でレトルトカレーを温め、食形態に合わせておかゆと米飯をユニットの人数ごとに分け、20日の昼食となりました。

各ユニットから階段を使って職員に取りに来てもらい、ユニットでは食器にラップを張って盛り付けし、洗い物を出さないという災害想定での配膳を行いました。

ご利用者様からは、カレーがおいしいと、わりと好評でした。

そして、全員に配膳しても、ごはんがいっぱい余ってしまったため、焼きおにぎりを作りました。(災害時に成人が米飯だけでもお腹いっぱいになるような量で「1人前」となっているため、かなり多めなのです)

希望する方には外に食べに来ていただきました。

火を見ながら「これ、芋でも転がしておけばすぐ焼けちゃうよ」「こんな大きな鍋で作っていたのね」などお話をしながら、楽しいおやつの時間となりました。

今回、炊き出しの練習をしてみたことで、ライフラインが途絶えたときの対応もある程度イメージができました。

もし災害が起きても頑張りたいと思います!

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